人の人生がそれぞれ異なるように、災害救助犬になる犬の生い立ちも様々です。最初から災害救助犬として育てられた犬もいれば、数奇な運命を経て人命救助をするようになった犬もいます。今回は、保健所で殺処分されかけていたのにも関わらず、立派な災害救助犬として活躍するようになった一頭の犬を紹介します。

夢之丞(ゆめのすけ)とは?

夢之丞は、目覚ましい活躍をしている災害救助犬です。2015年には、日本動物愛護協会から「功労動物賞」も授与されています。
そんな夢之丞は立派な犬種というわけではなく、ただの雑種なのです。野良犬として保護されていたところを、ピースウィンズ・ジャパンのスタッフである大西純子さんに引き取られたのでした。

夢之丞が活躍しているピースワンコ・ジャパンのSNSはこちら

ピースウィンズ・ジャパンとは?

ピースウィンズ・ジャパンとは、広島の認定NPO法人です。紛争地帯に住んでいる人たちや、災害に見舞われた地域に人道支援を行っています。
ピースウィンズ・ジャパンには、5頭の災害救助犬がおり、そのうちの一人が夢之丞なのです。
大西さんは、外国から派遣された災害救助犬の活躍を見て、自分たちも救助犬を育成することを思いついたと言います。人命救助に役立てるため候補の犬を探していた大西さん。そんなとき彼女が出会った犬こそ、夢之丞でした。

殺処分寸前から災害救助犬へ

広島の愛護センターに訪れた大西さんは、殺処分される部屋のそばのゲージに一頭だけいた夢之丞と出会います。まだ仔犬だった夢之丞は、2日後に殺処分が決定されていました。
大西さんは夢之丞を連れて帰り、災害救助犬として育てることを決めます。しかし、担当者が発した一言は「救助犬にはなれませんよ」という大西さんの考えを否定するものだったのです。
夢之丞は、人になつかず、人を見ると異常に怯えてしまう犬でした。
しかし、大西さんには「夢之丞は人の命を救う仕事に向いている」と予感があったと言います。そして、訓練がスタート。夢之丞は持ち前の嗅覚の鋭さを発揮し始めます。
4年後の2014年、ついに夢之丞の出番がやってきました。広島で大規模な土砂災害が発生したのです。
「この現場にはまだ早いかもしれない」と思う大西さんの予想に反して、救助隊員が大勢いる中でも夢之丞は賢明な救助活動を行いました。残念ながら息を引き取っていたものの、夢之丞は行方不明者1名を発見したのです。
それから夢之丞は、フィリピンの台風、ネパールの大地震、熊本の大地震、と次々出動していきました。夢之丞の丁寧な仕事ぶりは、スタッフの間で「職人」と評価されています。

夢之丞が教えてくれるのは、可能性を捨ててはいけないということかもしれません。災害救助犬になれないと言われた夢之丞は、立派な災害救助犬となって人々に勇気を与え続けています。